しかし、例によって利益の追求は過ちを引き起こした。
高いリターンが見込まれたものの、
起こりうる結果の中には非常に物騒なものも含まれていたのである。
多くの金融テクニックや仕組み商品は、
未来が過去と同じような状況ならば成功するはずのものだった。
だが、これらが拠り所としていた「現代の奇跡」の多くは
机上の空論にすぎなかったのである。
~投資で一番大切な20の教え ハワード・マークス著(日経新聞出版社)~
サブプライムローンショックが始まった時に
ハワード・マークス氏が顧客向けに書いた文章です。
その営業マンが勧めてくれるレアルを絡めた仕組商品がそれに当たるかどうかは知りませんよ。
(また数年後にこのブログで検証してみるとしよう)
ただ、これまで多くの金融機関の営業担当者や窓口担当者が
その後深い後悔をしていく経緯はほとんど同じパターンだと思います。
1)顧客の資産状況やニーズを十分に考慮することなく、
2)会社が推進する営業方針をそのまま信じた提案をし続け、
3)ほどなく相場の変調によって顧客に大損をさせてしまい、
4)ひどく罵られたり、悲しい思いをしている姿を見るうちに、
「自分はなんてひどい仕事をしてきたのだろう。」
と悩み苦しむパターンです。
かなりいると思いますよ。鬱になってしまった金融な方々・・・。
まぐれ(ナシーム・ニコラス・タレブ氏著・ダイヤモンド社)という本に詳しく書かれていますが、
騰がる確率が80%、下がる確率が20%だからと言って、
騰がる方に賭けるのが正しいとは限りません。
騰がる確率が80%でも、その場合に得られるリターンは10%
下がる確率が20%でも、その場合に失う損失は60%だとしたら、
騰がる場合の確率×リターンと
下がる場合の確率×リターンの和(期待リターンという)がマイナスとなり、
その投資は「勝つ確率は高いがとても危険な投資」と判断できるわけです。
「過去何年もそうだったから・・・」という投資根拠は、
確かに当面の勝つ確率を高めはしますが、
もし、何かあった時にはとても大きな損失となって、
二度と株やFXはできなくなるところまで投資家を追い詰めます。
身近な所でも何人も知っていますよ。
これまでずっとうまく行っていた投資商品や投資手法で積み上げた
ほとんど全ての利益(さらに元手まで)を、
リーマンショックや東日本大震災で数日のうちに失った人を・・・。
確かにこの6年ほどは、
全くもってワンパターンな投資スタイルで
私はずいぶん勝ちを積み上げる事が出来ました。
この間はリスクも大きかったのですが、
うまく行った場合のリターンがとても魅力的だった(つまりリスクプレミアムが高かった)ので
平然と欧州金融危機や津波や原発事故をやり過ごすことが出来ました。
しかし、株価が上昇しリスクプレミアムが低下している現状においては
そのワンパターンが通用するとは考えていないのです。
上の表で説明すると、勝つ確率は高いかも知れませんが、
何かあった時に失うマイナスが非常に大きく感じられ、
期待リターンはせいぜい±0付近
というのが個人的な相場判断なのです。
それに従って、現金や実物資産、外貨建て債券の積み上げを図った次第です。
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