リーマンショックの時に、アマゾン株は35ドルを割っていました。今年の7月には3500ドルを超えていましたので、ざっと100倍ということになります。その間、アップルならざっと50倍です。当時、市場はリーマンショックという大嵐にばかり目が行っていたため、巨大IT企業の市場支配力拡大と言う長期トレンドを軽視していました。良い銘柄を見つけて長期投資するのであれば、リーマンショックやコロナショックさえもさざ波程度の揺れです。
日本企業でも同じことが言えます。「株式市場の本当の話」(前田昌孝著:日経BP)によれば、リーマンショックの翌年2009年の最安値で株を買うことが出来れば、その後の10年間で10倍高以上した銘柄は、全体の21.6%にのぼります。5銘柄に1つはテンバガーしたってわけです。
その年の最安値で株を買うというのは、メチャメチャ難しいので、かなりの空想の話になってしまいますが、仮に最安値の2倍の値段で買ったとしても、21.6%の割合で5倍高は達成できたわけです。
別に全ての銘柄の中で最も上昇する株を手にする必要はありません。金メダルを採る必要はないのです。上位20%というと偏差値なら58とかということになりますよね?買いのタイミングも完全に出遅れたって大丈夫です。最安値の2倍高ってどんだけ下手やねん!!って思うかもしれませんが、それでも5倍高なら文句ありませんよね。
とにかく、①上位20%以上と思われる良い株を探すこと、②大底で買う必要はないが、それに近いレベルに下がりすぎている株を見つけて、それを買うこと、この組み合わせを達成できれば、かなり大儲けできます。
最近流行りのFIREの議論を見ていると、4%理論(年間平均4%はリターンを期待してよいので、金融資産の4%以内に生活費を抑えることが出来れば、仕事をしなくても暮らせる。年支出が400万円なら1億あればよい。)と言うのが出てきますが、私のような割安成長株投資家にとって、4%はほぼ最悪のシナリオです。馴らして10~20%は普通に期待して良いリターンだと考えています。(年率15%複利なら、10年で4倍の計算)
ただし、年率20%は狙えても、月率1.5%(複利計算なら12カ月でちょうど1.2倍になる)を安定して稼ぐのはほぼ不可能です。
短期目線では難しいのに、長期目線なら可能になるというのは、すごく妙な話に聞こえるかもしれませんが、株価と言うものは短期的には激しく揺れるため、「勝つ時は月に10%も稼げるけど、負けるときは月に20%も負ける。」という激しさを許容する必要があるのです。
これが精神的に耐えられないので、多くの人は短期トレードやうねり取りといった別な投資法に逃れるわけですが、短期トレードなら月率1.5%をコンスタントに稼げるのかと言うと、そっちの方がよっぽど難しいでしょう。(熾烈な世界を生き残ってきた狼たちやそのノウハウを獲得したAIが食い合いをしている真っただ中に、全くもってひつじな素人投資家が紛れ込んで、タダで済むとは到底思えない。)
結局のところ、短期トレードに逃れたところで、長期投資と同等かそれ以上に激しい勝ったり負けたりを繰り返すだけなのです。
暴落か?反発か?
気になる記事を書いてしまいました(個人的には反発の方が可能性が高いと思っている)が、そんな短期的な予想は当たろうが当たるまいが、どっちでも良いスタンスが大事だと思うのです。